『あのこと』を観てきました。
新宿ピカデリーへ。当初は渋谷のル・シネマを考えていたのですが、ル・シネマはウェブ上でムビチケの事前座席指定ができないんですよね^^;着いた時には人がまばらでしたが、終わって出てきたらすごい人がロビーにたむろしていて驚きました。
舞台は1960年代のフランス。人工妊娠中絶が違法だった時代に、女子大生のアンナは予期せぬ妊娠を経験します。大学で勉強を続けたいアンナは様々な人に助けを求めますが思うようにならず、しかし刻々とタイムリミットは近づいてきて・・・というのが大まかな流れです。
以前に鑑賞した『シンプルな情熱』と同じアニー・エルノーの原作とのことで、楽しみにしていました。アンナ役のアナマリア・バルトロメイが役にはまっていてとても良かったです。全編通して着用していた水色のトップスがとても似合っていた^^孤軍奮闘する姿を正面からでなく、彼女と共に体験しているようなカメラワークも印象的でした。
もう、随所で正視するにはあまりに辛い映像が出てくるので(特にラストにかけて)、しんどいシーンだけ目をつぶっているのも手かもしれません。知の自由と性的な自由を求めるアンナですが、途中自暴自棄に・・・なりたい気持ちもわかります。医師からは「(妊娠を)受け入れろ」友達からは「巻き込むな」と言われ(当然です、幇助罪で刑務所行になるのかもしれません)、子どもの父親であるはずの男性は・・・言わずもがな^^;途中、この映画が1960年代という設定だという事を忘れそうになった。女性が一人で中絶に悩み奮闘している姿って、2022年現在の今もまったく変わっていないのではないかと思います。
ハードで重いはずの映画なのに、鑑賞後はどこか心がさっぱりと軽くなる不思議な感覚。それは映画の終わり方が想像以上に淡々としていたから?「(いつか子どもは欲しいけれど、と前置きをした上で)人生と引き換えの妊娠は嫌」という台詞が最も深く心に残っています。