初心に帰る。
「〇〇さんは、芝居をしていて『行き詰まったな』って言う時にどうしていますか?」
「そうだな……やっぱり、台本に戻るかな。答えは台本に書いてあるからね」
以前出演した舞台の食事会の席であった1コマです。
質問をした役者さんは、確かその日、同じシーンを何度も演出から「違う!」とノートされていて…。具体的に「ここはこういうシーンだから、こういうアプローチで…」と伝えられても、自分の体の中にどう落とし込めばいいのか、分からない時ってあると思います。相手の言葉を受けて、じゃあこれでいいの?と思っても、やっぱり違う、のループに陥ると…体も心も身動きが取れなくなってしまいます。そうすると芝居が小さくなってまた怒られるという無限ループに突入…。
確かそんな時、演出補助のような形でご指導に来てくださっていたベテランの役者さんからこのような言葉を頂いたような記憶があります。そう、困ったら台本に聞けばいいんですよね。「台本」という不自由を抱えているのが俳優なのだから…。台本を読むと、やらないといけないとこ、やらなくてもいいこと、改めて浮き彫りになり、自分のやるべき仕事、やりたい仕事(二つは全く異なるものだと思っています)が明確になります。そして、大体うまくいかない時はやらなくてもいいことをやっているときだったりする…。too muchだったり、too little doneだったり。やりたいことをするときは場所と相手を十二分に考えることも必要だと思います。自宅で一人練習する時にやるのが一番良いのかもしれませんね。