機械で十分?
以前に「仕事の依頼が来るかも」と鼻息荒くいたらずっこけたというお話^^;そして、機械でも遜色ない?でもそれでいいの??というお話・・・。
とある企業でアルバイトをしていた時、その会社の社員教育を行っている部署に配属になったことがありました。
社員教育と言っても色々ありますが・・・私は主に社内の研修にかかわるところの部門を細々と手伝っていました。
ある日、部署で作成したパワーポイント資料に音声をつけるという話を聞きました。
別録りした音声と出来上がった資料を合成して一つの資料にする、という作業でしたが、音声を準備する必要があると知り、それなら私が読みたいな…と思い、「音声資料なら作れますので・・・」とミーティングの場で手を挙げ、「あ、じゃあお願いします~」なんて世間話をすること数週間・・・。
待てど暮らせど声はかからず。
あ、あれ?そろそろ資料完成させないと、講座のオープンに間に合わないのではないか・・・とそわそわしながら過ごしていましたが。
いや~機械で十分ですね!ナレーションなんて!!
ずごっ!と音が出るかと思ったくらい、心中ずっこけました。あ、あら、もう終わっていたのね、そうなのね・・・。「ナレーション“なんて”」が更にひっかかったのは黙っておきました笑。
出来上がった音声資料というのは、なんとパワーポイントに読ませるというもの。そうなんです、今のパワーポイントは優秀で文章を読むこともできるんです。
確かに、イントネーションやアクセントは「、」の位置などを考慮してパワーポイントに打ち込まないといけないので、コツがいるというか、そこは気を遣う部分だと思います。でも慣れてしまえばどうということもない作業です。
喋る声もあからさまに機械音声で、母音の無声化も鼻濁音もあったものではありませんが、そんなことを気にするのは、恐らくこういった分野(声優やアナウンサーやナレーターなど、いわゆる“声の表現”)に片足を突っ込んで勉強した人ぐらいで、世の中の大半の人にとっては全く気に留めるようなことでもないのだと感じました。そう、明らかに機械音声ですが、下手なナレーターが読むよりはずっと良い・・・と感じました。変な所で気持ちを込めることもなく、訛りもうねりもないですからね^^;
そして、人間がしゃべった音声とパワーポイントの資料を合成するのって、結構手間でした。私も手作業で対応したことがありますが、慣れるまでは半日近くもかかることもありました。優秀なソフトがあればそれに頼るのも手ですが、それだけを専業にやっているわけではないので、手間賃を考えても、機械音声というのは悪くない選択だと感じました。
でも、機械でできるからこそ、人間にしかできない表現というか、手仕事(声仕事?)も見えてくるんですよね。
皆さんお忙しい中の勉強(大体の場合は会社から押し付け・・・いえ、必須研修として受講している)なので、「動画再生の倍速機能をつけてください」というクレーム?リクエスト?も多かったのです。でもそれで学習になるのか、と思いつつ・・・気になる映画やドラマをクライマックスだけ見る、みたいなね^^;訓練された人間が話すからこそ出来る、耳に残る、心に届く作品(教材)づくりってあるのではないかな・・・と、当時は全く関係のない業務をしながら感じていました。
1年とか半年に1回入れ替えるような教材だったら難しいのかもしれませんが(法改正が頻繁とかね)、一度作ったらある程度の年数はそのまま使いまわせるようなものであれば、多少手間暇とお金をかけて作っても、受講者の満足にもつながり、研修の効果も上がれば、元は取れるのではないかと思うのです。でも「教育」ってすぐには効果が感じられない、回収できないもので・・・。当時会社が諸々でスリム化を図っていたこともあり、部署の予算は増えるどころか、猛スピードで予算縮小の憂き目にあっていたのでした。
教育とか芸術とか、真っ先に予算が削られる分野だけれど・・・そこにかかわっている人間としては、あまりにも「予算!予算!経費削減!!」と言われてしまうと非常に心苦しくなるのでした^^;お金をかければいいというものでもありませんが、いいものにはそれなりにお金と時間がかかっていたりするわけで・・・。