滑舌訓練の本当の意味とは?
このような状況になり、声優さんの養成所とか専門学校とか、授業はどうされていたのでしょうね。基本的には自宅待機という名の自主稽古というか、「ほったらかし」の状態だったところが大半だったのではないかと思いますが・・・。
もしかしたら「滑舌訓練くらいなら一人でできる!」と、ひたすらアメンボやナメクジや鳩と格闘していた人も多いのではないでしょうか。
俳優訓練には様々なものがありますが、一人でも手軽にできて、かつ上達を感じやすい「滑舌」は、先生も課題として与えやすいし、指導を受ける側も自分の進歩が感じられて、初心者でもコツコツ積み重ねていきやすいレッスンの一つかと思います。
ですが、この滑舌訓練の意味・・・「なぜ、やるのか」きちんと理解して取り組んでいますか。
先生がやれと言ったから、毎週成果を発表しなければならないから・・・そんな消極的な気持ちで取り組むのはとても勿体無いと思います。正直、先生だってなんでやる必要があるのかよく分かっていない場合もあるからです。
私が滑舌訓練を行う理由、それは、自由なスピードで台詞(言葉)を話せるようにするため、です。
滑舌のスピードは、台詞全体のテンポやリズムに大きく関わってきます。スピードが自在に操る事が出来れば、それだけ表現のバリエーションが増えていくということになると思っています。
滑舌の練習用の文章も、いくつか違うものを用意しています。人間、自分ではできていない・・・と思いつつも、何度か経験すると筋肉が慣れてしまって、訓練として意味がなくなっていたりします。ある程度できたかな?と思ったら、違う文章や、実際の新聞やニュースで聞こえてきた文章を読んでみたりすると、良い筋トレになると思います。
あとは、地声ばかりでなく(そもそも自分の地声も分かっていない、時折見失ったりすることもありますが、それはまた別の機会に)、自分の中の子どもの声、大人の声、老人の声・・・色々な音の高さやスピードで喋ることも大切だと思います。演技レッスンの時はやたら可愛いかったり斜に構えたような雰囲気のキャラクターばかりなのに、滑舌の時だけ地声で延々やり続けても、台詞の時に役に立たないでしょう?せめて自分一人で自主稽古する時くらい、色々遊びながら、楽しんで稽古してもいいのではないかと思います。
時代に合わせたツールや指導法の研究に熱心な先生ももちろんいらっしゃいますが・・・自分も駆け出しのころはやっていたから、とか・・・一体いつの話?そのレッスン内容は古くなっていない??指導する立場にあるのなら、たとえ偏っていたとしても、自分なりの教育方針をもって指導してほしいと思います。何にも考えずにレッスンを続けてきた代償を教え子に背負わせないでほしい・・・というボヤきは鳩の餌にしておきます^^;